アメリカ横断紀行 11

1992年3月21日 フォートストックトン-エルパソ

うす曇。砂漠の朝は寒い。今日はエルパソまで間近のところまで来ているので、早めに出発し、時間帯を越えて得する1時間も計算に入れて、午後に時間を作ることにする。
7時に出発し、予定通り快調に飛ばす。途中から左手にメキシコとの国境が見え、国境警備隊(ボーダー・パトロール)の姿が目に付くようになった。左手に流れるリオ・グランデ川の向こうはもうメキシコだ。なんとなく文明が遅れているような感じで、建っている家もほったて小屋みたいなものばかり。
GSでガソリンを入れていると、となりを大陸横断鉄道が通り過ぎる。車両がなんと80両。
14時、今日は短めの380キロで無事、国境の町・エルパソに到着。ダウンタウンのホテル「Travelodge」にチェックイン。おもてにしばらくいると、日本語で話し掛けてきたおばあちゃんがいて、「飲み物をおごるから中に入りなさい」と言い、ホテルのレストランへ連れて行ってくれた。
話を聞くと、おはあちゃんは1954年にアメリカに来てアメリカ暮らしは40年。旦那さんがアメリカ兵だったそうで、3人娘のうちの一人がこのレストランで働いている。おばあちゃんは久しぶりの日本人に嬉しくて、忘れかけていた日本語で延々と地元のことを教えてくれた。「メキシコでは必ず値切って買い物しなさい。日本人にはふっかけてくるから。」
そのままここで昼食にしてしまう。メキシカン・コンビネーションというメキシコ料理。激辛。こりゃ、日本に帰るまで食事は大変だなあ。
人口の80パーセントがメキシカンというエルパソは国境の町で歩いて15分でメキシコに行ける。国境がリオ・グランデ川で、メキシコ側の町はファレス(Juarez)。国境に近づくとアメリカ側に検問があり通行料25セント払う。帰りは逆にメキシコ側の検問で50セント払う。メキシコは貧しい国なので、こうしたお金が貴重な財源になるのだろう。検問を通り、リオ・グランデ川にかかる一本の橋を渡る。その橋の真中に一本の線が引いてある。ここが国境線だ。その線を境にアメリカ国旗とメキシコ国旗が立っている。しばらくその橋の上から川を眺めていると、川を船で渡ろうとするボート・ピープルの姿が見える。彼らはアメリカに密入国しようとしているメキシコ人で、舟の船頭に2ドル払えばアメリカ側に連れて行ってくれるのだそうだ。「どうせアメリカ側でそのうち捕まるよ。」と、となりでポリスが笑っている。
アメリカへの密入国者は年間600万人もいるそうだ。
ファレスの町では買い物をして回る。おばあちゃんの言う通り値切ると、あっという間に安くなる。革製のポーチを25ドルから14ドルへ、ベルトは30ドルを16ドルに値切った。結構、日本人がいいカモらしく、日本語で呼びかけてくる。「いらっしゃーい!」って、おまえは桂三枝か!
再びアメリカに戻るときにはパスポートを見せるのだが、ほとんどフリーパス。コーディネイターの真瀬さんと約束していた「トニー・ラマ」にウェスタン・ブーツを買いに行く。トニー・ラマの直営店がエルパソにあり値段も安いのだそうだ。日本で買ったら4、5万はするブーツが104ドル。その日の内から履いて歩いた。
夜は昼と同じレストランでメキシコ料理。真瀬さんとアメリカ横断について話す。真瀬さんのサポートなしでは、このアメリカ大陸横断は実現しなかっただろう。「学生時代に自分もアメリカ大陸横断をして、ライダーみんなの夢だから、色々あったけど、絶対に屈したくないよね。」と静かに語っていた。
エルパソの夜景は最高だった。多分、ロスの夜景ばかりが有名で、エルパソの夜景はガイドブックにも載っていないけど、本当に素晴らしかった。180度以上、見渡せる丘から見えるエルパソの街は、家々の黄色い灯りが、これ以上はないという位に細かくちりばめられていて、それが視界全体に広がっている。そして、黄色い灯りに混じって青い灯りの部分が見える。それがメキシコ人の家々なのだそうだ。とても綺麗だった。
流れ星も見た。空が澄んで綺麗だった。テキサスとニューメキシコは、UFOが最も多く現われる場所なんだそうだ。ここで夜空を眺めていると、本当にいつUFOが現われてもおかしくない、そんな雰囲気の場所だった。

アメリカンWEBトレンド

ウェスタン・ブーツのトップブランド「トニー・ラマ」のサイト。アクセス時によりアトランダムに表示されるトップページのメインビジュアルが面白い。
商品紹介では、カテゴリーを分かりやすく分類し画面右側に表示、多彩なラインアップも負担なく閲覧できるようになっている。
その他、企業の紹介(単なるプロフィールではなく特色を強く押し出している)、こだわりのポイント、ケアの仕方、カウボーイ紹介と、コンテンツはブーツをとりまく世界そのものにスポットを当てて、「100% COWBOY」のコピー通りに、サイトに用いられている素材写真からウェスタンの世界そのものが伝わってくる迫力だ。

<< 1992年3月20日 │ アメリカ横断紀行のTOPへ │ 1992年3月22日 >>