WEBのプランナーの仕事のひとつに「業者選定コンペティション」での提案がある。コンペと言っても当然、ゴルフコンペのような和気あいあいとしたものではなく、受注額100万円前後の1本のホームページを5社から10社で争う真剣勝負の企画提案オーディションである。
今までにかれこれ14回コンペに参加したことがあり、何とか8回の受注を獲得してきた。その中には泥沼の4連敗というのもあったが、ライバル会社の懸命ぶりを考えれば勝率としてはまずまずといったところだろうか。
独立して1ヵ月。のんびりと仕事をしていた平和なアームズ・エディションに突然、某社よりコンペの参加依頼があった。もうしばらくはないだろうと思っていた「15回目」である。
コンペでは通常、5名程度の審査員を前に、約30分、その日のために考えてきたクライアントのホームページについての企画提案を説明する。当然、従来のホームページにはない要素を取り入れる必要もあるし、何よりクライアントにメリットのある内容でなければならない。そして、コンペに参加する他社が考えもしないような企画、これが最大のポイントなのだ。そんな企画を考えるために眉間にシワを寄せながら準備期間の約2週間でアイデアをひねり出す。
提案内容をまとめた企画書が出来上がっても安心は出来ない。今度は発表当日にそなえて「しゃべり」の練習だ。ここまでくると舞台を控えた漫才師の練習に近い。最後の2日は終日しゃべってしゃっべって声がカレるぐらいになる。
そしてプレゼン当日、笑顔の裏に「どうしてもこの仕事が欲しいのじゃー!」という熱い思いを込めて30分のステージを演じ切る。なんとなく役者の気持ちがわかるような気がする瞬間である。そう、WEBプロデューサーは「役者」でなければならない。夢を与える提案が出来なければいけないのだ。
コンペが終わるとしばらくは茫然自失。「あしたのジョー」のように燃え尽き、しばらくは声も出せない状態が続く。
結果発表が早いクライアントだと翌日ぐらいには電話で連絡があるのだが、「このたびは大変申し訳ありませんが・・・」なーんていう連絡だと、本当に立ち上がれないぐらい落ち込んでしまい「この世に神はいないのか」とさえ思ってしまう。もちろん、敗者のこれまでの2週間の労力に対しては一銭のゼニも支払われない。参加賞のタオルすら出ないのである。(もらってもしょうがないけど・・・)まさにオール・オア・ナッシング。勝者が一人占めという残酷な世界なのだ。
しかし、「御社の提案が採用されました。」という連絡があったときには、もう一晩中ドンチャン騒ぎをしてやるぞー!というような満足感、開放感、充実感を味わえる。勝利の美酒に酔いながら、「ワシの提案には誰もかなわないのじゃー!」(何故か広島弁)と勘違いもはなはだしく叫ぶことのできる瞬間はWEBプランナーとして最高のひとときである。(どのWEBプランナーもコンペに勝った夜、このようにしているワケではない)
こんな自分もコンペの準備では色々とゲンをかつぐ。IT関連のプランナーがなんて非科学的な・・・と思われるかもしれないが、なにしろ結果が伴っているので止められない。
黄色のYシャツに黄色のチェックのネクタイ。これを身につけて当日のプレゼンテーションに臨んだ時は必ず採用されてきたのだ。
今回の15回目のコンペも見事、採用。プレゼン当日はやはり、「黄色のチェックのネクタイ」だった。 |